眞田純一院長

­ 大島郡医師会病院は昭和56年の開設以来、約40年が経過しました。その間、地域の病院・診療所、とりわけ高度急性期・急性期を担う地域中核病院である県立大島病院との連携で、回復期・リハビリ、そして慢性期医療を中心に全人的医療を推進することで地域医療への貢献を目指してきました。とくに骨折手術後等の整形外科領域、脳卒中あるいは外科手術・肺炎等の治療後の廃用症候群(長期臥床後の筋力低下など)のリハビリ等は専門医を中心に積極的に行われており、各種内科疾患の亜急性期診療についても、診療内容の向上に努めているところですが、このたび、かねてより準備を進めて参りました、“回復期リハビリ病棟”の体制が整い、令和3年4月より受け入れを開始致しました。病棟再編に加えてリハビリ技師数を増員し、十分に時間をかけて効果的なリハビリを行うことで、寝たきりの防止と早期の在宅復帰を進めます。奄美大島では初めての、リハビリに特化した機能病棟ですので、地域へ大きく貢献できるものと思います。

 それに加えて、一部の療養病床を“介護医療院”へ転換することと致しました。これは入院治療後も長期療養が必要で、自宅へ戻ることが困難な患者さんの受け皿として、平成30年4月に国が創設した施設形態であり、入院するほどではないものの、喀痰吸引や経管栄養等の日常的・継続的医学管理が必要なため、在宅や他の介護施設等で支えることが困難な方が対象となります。入院期間の制限はありません(当院ではとくにプライバシー面を考慮し、すべて個室あるいは準個室としています)。

 これらの病床機能転換は、以前より指摘され、国の主導による地域医療構想調整会議等で検討されている“2025年問題”(確実な人口減の一方で、団塊の世代が75歳以上となり、後期高齢者が著増することに如何に対応するか)の解決策として、地域における効率の良い医療・介護連携を目指す、という目標に準じた方針でもあります。このことで、病院全体としては188床→159床へと病床数が削減されますが、急速に進行している人口減、そして当院で確保可能な職員数を考慮しても妥当なものと考えています(そもそも奄美医療圏の人口10万人あたりの病床数は、最近の国の統計では全国平均に比べ約900床多いことが示されています)。

 また専門外来の充実にも努めており、整形外科、脳神経外科、循環器内科、歯科に加えて、非常勤専門医によるリウマチ内科、心療内科、神経内科、糖尿病内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、精神科による物忘れ外来も行なわれています。一方では、入院患者さんの在宅復帰へ向けての多職種連携の充実を図るとともに、在宅医療で苦労されているご家族のための“レスパイト入院”(短期の入院預かり)への対応も行っています。また若い医療従事者の修練施設として、県内外からの医師、看護師、リハビリ技師等の研修をサポートしています。

 奄美医療圏における当院の担うべき役割に準じた、地域のみなさまに信頼され、喜んでいただける、安心・安全な医療のさらなる充実を目指していきます。今後の大島郡医師会病院運営に対するご理解、ご協力をどうぞよろしくお願い致します。

令和3年4月

大島郡医師会病院 院長 眞田 純一